キーエンスとはどういう会社か
- 会社概要
キーエンス株式会社は、大阪に本社を置くFA(ファクトリーオートメーション)機器メーカー。
センサー、測定器、画像処理装置などを世界中の工場へ提供しています。 - 特徴
- 営業利益率が日本トップクラス。2025年3月期に51.91%。※製造業では10%くらいあれば良い方
- 「高付加価値製品を高価格で販売する」モデル。
- 生産部門を持たず、開発と販売に集中。
- 仕組みによる効率化と徹底的な数字管理で成果を出す。
- 社員の平均年収が2000万円を超える。
- 人材観
- 社員の「未来の可能性」を重視し、1年目から大きな責任のある仕事を任せる。
→エントリーシート不要。BtoB事業に触れることがあまり無いのに無理矢理志望動機考えても時間ばかりかかるし、企業側も得られる情報があまりない。成長曲線を知りたい。 - 超優秀な個人に依存せず、凡人でも成果を出せる仕組みを重視。
- 社員の「未来の可能性」を重視し、1年目から大きな責任のある仕事を任せる。
性善説・性悪説との比較
人間の本質をどう捉えるかについて、古来よりさまざまな考え方があります。
説 | 提唱者 | 人間観 | 組織や教育への考え方 |
---|---|---|---|
性善説 | 孟子 | 人間は本来「善」であり、外的環境や教育によってその善性を伸ばせる | 信頼をベースにした教育や制度を重視。個人差が大きい。単純作業ならこれでも良い。 |
性悪説 | 荀子 | 人間は本来「悪」であり、放置すれば利己的になる | 厳格なルールや制度で矯正する必要がある。過剰な管理に陥りやすい。 |
性弱説 | キーエンス的マネジメント思想 | 人間は「善」でも「悪」でもなく、弱い存在であり、怠けたり妥協したりしやすい | 弱さを前提に、仕組み・制度・環境で成果を出せるように設計 |
性弱説の対策と仕組化(キーエンス流)
キーエンスは「人は弱い」という前提に立ち、次のような仕組みを実践しています。
具体的な取り組み事例
- 顧客の声を拾う仕組み「ニーズカード」
- 提出しなければ人事評価に影響。
- 良い情報を得れば賞金が出る。
→ 情報収集を“仕組み”として必ず行うよう誘導。
- 営業前の上司との対話
- 営業担当者は訪問前に10〜15分、上司と面談。
- 「聞くべきこと」「伝えるべきこと」を明確化し、漏れを防ぐ。
- 時間の徹底管理
- 1分単位で業務日報を記録。
- 「1時間で3万円以上の付加価値を出す」基準を設定。
- 人は見えないものを管理できない
→ 可視化で弱さを克服。
- 上司によるハッピーコール
- 上司が直接顧客に確認し、営業の報告が正しいかチェック。
- 「ズルをする人が得をしない」よう公平性を担保。
- 失敗からの学習を徹底
- 成果が出なかった場合「努力不足」で済まさない。
- 「何が足りなかったのか」を分析し、対策を立案・再検証。
- 目標設定の主体性
- 目標は会社が押し付けず、社員自身が決める。
- 他人から与えられた目標には本気になれないが、
自分で決めた目標なら全力を尽くせる。
まとめ
- キーエンスの「性弱説」は、人間の弱さを否定するのではなく、前提化して仕組みで補う発想。
- その仕組みは「情報収集・時間管理・公平性・失敗分析・主体性」など、多面的に設計されている。
- その結果、凡人でも成果を出せる組織が成立し、日本有数の高収益企業となった。
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