異動は、自分のキャリアを見直し、関係性を整理し、次のステージに向けて備える重要なイベントです。
ここでは「自分に対するアクション」「同僚に対するアクション」に分けて、実務に直結する観点をまとめます。
自分に対して行うアクション
情報アクセス終了を見越した準備
異動後は、これまで利用していたデータやシステムにアクセスできなくなる場合が多く、事前整理が欠かせません。
確認しておくべき情報
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| ドキュメント | 手順書、設計書、過去資料、ナレッジ |
| タスク | 進捗、関係者、未完了作業、リスク |
| メール | 調整経緯、判断理由、重要なやり取り |
| ツール | Git、JIRA、Teams、Slackなどの情報所在 |
ポイント
- ローカルに持てないファイルは「どこに何があるか」をメモ化
- 判断の背景や過去経緯は後任が最も困りやすい部分
自分がやってきたことの棚卸し
棚卸しは、経験の可視化・自己評価・新しい環境でのアピールに役立ちます。
棚卸しの観点
- 成果
- 担当業務
- 習得スキル
- 課題・改善点
- 今後に活かせること
棚卸しのテンプレート(例)
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 成果 | 障害率改善、工数削減、効率化など |
| 担当業務 | 要件定義、レビュー、顧客調整 |
| スキル | PM補佐、技術スキル、調整能力 |
| 課題 | 属人化作業、特定工程の弱さなど |
技術・役割・開発経験の整理
異動は職務経歴書を“最新の状態にアップデート”する絶好のタイミングです。
整理する項目一覧
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| OS | Windows Server、RHEL、Ubuntu |
| ミドルウェア | Apache、Nginx、Tomcat、Docker |
| ソフト | 自社システム、監視ツール、CI/CD |
| 言語 | Java、Python、C#、JavaScript |
| FW | Spring Boot、Laravel、React |
| フェーズ | 要件〜保守 |
| 役割 | 主担当、レビュー、顧客折衝、PM補佐 |
| 規模 | 期間、人員、工数、予算 |
プロジェクトの整理テンプレート
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| プロジェクト | ○○システムリプレース |
| 期間 | 2023/04〜2024/09 |
| 技術 | RHEL、Tomcat、Spring Boot |
| フェーズ | 基本設計、実装、テスト |
| 役割 | 実装リーダー、レビュー担当 |
| 規模 | 15名チーム |
生産管理領域の経験整理
生産管理に関わる経験は専門領域として価値が高く、異動前に整理しておくと強みが明確になります。
生産管理領域の主な項目
| 領域 | 内容例 |
|---|---|
| 品目・BOM | 構成管理、レシピ、工程BOM |
| 購買 | 発注、納期調整、外注管理 |
| 物流 | 入出庫、倉庫管理、輸送 |
| 生産 | 工程管理、工数、指示出し |
| MRP | 所要量計算、引当、補充計画 |
| 販売 | 受注、出荷、売上計上 |
| 在庫 | 棚卸、安全在庫、最適化 |
| 設備保全 | 点検、予防保全、設備台帳 |
生産管理の記載テンプレート
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 経験領域 | MRP・在庫・購買 |
| 担当内容 | 所要量計算ロジック改善 |
| 使用システム | ERP(SAP PP / MM)、MES |
| 役割 | 要件定義、Fit/Gap、テスト |
同僚に対して行うアクション
引き継ぎとナレッジ共有を一体で行う
業務引き継ぎは、作業内容だけでなく “背景・判断理由・コツ” の共有まで含めて初めて効果を発揮します。
後任が混乱せず、即戦力として動ける状態を整えることが最終目的です。
● 引き継ぎ資料に必ず載せる項目
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 業務概要 | 担当案件、定例、保守作業 |
| 現状と次のアクション | どこまで終わっているか、何が残っているか |
| 関係者 | 社内外キーパーソン、注意点 |
| 注意事項 | 過去のNG例、顧客のクセ |
| 保存場所 | Teams / Git / 共有フォルダ |
● ナレッジとして残す情報
- トラブル対応履歴
- 顧客特性(好み、注意点)
- システムのクセ・落とし穴
- 手順書にはないコツ
- よく使うテンプレートやショートカット
● 共有方法
| 方法 | メリット |
|---|---|
| Wikiまとめ | 長期保存・検索性が高い |
| 引き継ぎ資料に追記 | 後任が最も使う |
| 口頭共有 | 誤解が減り、質問可能 |
| SlackでTips投稿 | 細かい知見の蓄積 |
関係性の維持・コネクションの活用
異動後も、これまで築いてきた関係は大きな資産です。
やるべきこと
- お世話になった人へ感謝を伝える
- Slack・Teams・LinkedInなどで繋がりを継続
- 情報交換できる関係を残しておく
- 「いつでも相談してほしい」と伝える
- 異動後に声がかけてもらえるような距離感を保つ
メリット
- 他部署でも協力を得やすくなる
- 異動後の情報・現場感が入ってくる
- キャリア全体で“内部ネットワーク”を活かせる
まとめ
異動のタイミングでは、
「情報整理」・「経験の棚卸し」・「技術経歴の更新」・「関係性の再構築」・「チームへの貢献」
が重要です。
- 自分へのアクション
- 情報アクセス終了への備え
- 経験の棚卸し
- 技術・役割の整理
- 生産管理領域の整理
- 同僚へのアクション
- 引き継ぎとナレッジ共有(統合)
- 関係性の維持・コネクション活用
これらを丁寧に行うことで、異動元の職場にも後任にも良い影響を残し、異動先でのスタートダッシュにもつながります。
Midjourneyプロンプト
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